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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成27年6月

平成27年6月16日(担当:菅野)

Patiromer in Patients with Kidney Disease and Hyperkalemia Receiving RAAS Inhibitors N Engl J Med 2015;372;211-21

【背景】
高カリウム血症は死亡リスクを上昇させるため、高リスク患者ではレニン–アンジオテンシン–アルドステロン系(RAAS)阻害薬の使用が制限される。そこで、非吸収性カリウム吸着薬であるパチロマーの安全性と有効性を評価した。

【方法】
RAAS 阻害薬を服用中の高K血症の慢性腎臓病(CKD)患者に、パチロマーを 4 週間投与。初期治療期の主要有効性評価項目は、ベースラインから 4 週目までの血清カリウム値の変化の平均とした。4週目の終了から、8週間の無作為化治療中止期に組み入れ、パチロマーを継続する群とプラセボへ切り替える群に無作為に割り付けた。

【結果】
初期治療期には、血清カリウム値の変化の平均は-1.01±0.03 mmol/Lであった(P<0.001)。4週目の時点で,患者の76%が目標値(3.8から5.1 mmol/L)を達成していた。無作為化治療中止期には、107 例をパチロマー群(55例)とプラセボ群(52例)に無作為に割り付けた。
この期間のベースラインからのカリウム値上昇の中央値は、プラセボ群のほうがパチロマー群よりも大きく(P<0.001)、8週目までに高カリウム血症の再発が認められた患者の割合は、プラセボ群60%に対し、パチロマー群15%であった(P<0.001)。有害事象は便秘がもっとも頻度が高く、低カリウム血症は3%に発現した。

【結語】
RAAS 阻害薬を服用中の高カリウム血症を伴うCKD患者において、パチロマー治療は血清カリウム値を低下させ、プラセボと比較して高カリウム血症の再発の減少にも関連した。