心臓外科
ご挨拶
心臓外科は虚血性心疾患、心臓弁膜症、胸部大動脈疾患に対する外科治療を行っています。冠動脈バイパス術は全例で低侵襲な(体への負担が少ない)オフポンプ手術*1を行い、80歳以上の高齢者に対しても積極的に手術を行っています。虚血性心疾患と弁膜症の同時手術が多いのが特徴として挙げられます。心房細動を合併した症例ではメイズ手術(不整脈手術)を積極的に取り入れています。
このような心臓外科手術が可能な病院は、栃木県北地域では当院に限られています。
将来的にMICS(小切開心臓外科手術:小さな創での弁膜症手術)を取り入れ、より低侵襲な(体への負担が少ない)心臓外科手術をめざしていきたいと考えています。また、現在は大動脈解離等の緊急手術には対応できませんが、緊急手術も含めすべての疾患を当院で完結できるようにしたいと考えています。
また、当院で実施している心臓外科手術の大半は、当院の循環器センターを受診された方を対象としており、さらにその約2/3は、地域医療連携室を通じて、近隣の医療機関から紹介された患者様*2です。このように、当科は名実ともに栃木県北の心臓外科手術の拠点であり、地域の医療レベルを担保すべく、今後とも、日々研鑽していきたいと考えています。
*1体外の人工心肺装置(ポンプ)を用いずに行う手術。
心臓の動きを止めずに済むので、体への負担が少なくてすみます。
*2 2020年度実績より
診察内容
- <虚血性心疾患>
- 心臓を栄養している血管(冠動脈)に狭窄や閉塞が生じ心筋虚血(血流不足)を生じた病気の総称で、狭心症や心筋梗塞などを指します。胸、肩、みぞおちの圧迫感や痛み、呼吸困難などの症状が起こります。患者さんの状態に応じて、内科的治療(薬物治療やカテーテル治療)もしくは外科治療(冠動脈バイパス術)を行います。冠動脈バイパス術では、狭窄や閉塞した血管に自身の動脈(内胸動脈、橈骨動脈、右胃大網動脈など)や静脈(足の大伏在静脈)を吻合し、血流を改善させます。
なお、冠動脈バイパス術はほぼ全例で体への負担が少ないオフポンプ手術を施行しています。 - <弁膜症>
- 心臓にはポンプ機能を持つ部屋が4つ(右心房、右心室、左心房、左心室)あり、それぞれの部屋の出口には心臓内での逆流防止のために弁がついています(三尖弁、肺動脈弁、僧帽弁、大動脈弁)。これらの弁に生じる病気の総称を弁膜症と呼び、臨床上重要な弁膜症として大動脈弁狭窄症や閉鎖不全症、僧帽弁狭窄症や閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全などがあります。現在はリウマチ性の弁膜症は減少傾向となり、代わりに加齢や動脈硬化性に伴う大動脈弁狭窄症や変性による僧帽弁閉鎖不全症が増加傾向にあります。病初期はほぼ無症状ですが、進行すると息切れや体のむくみなど心不全症状が出現するようになり、心機能も徐々に悪化します。重症例では突然死の危険も増すため、適切な時期に手術することが大切です。手術方法としては自身の弁を温存する形成術と、弁を切り取って人工弁(機械弁と生体弁の2種類)を移植する置換術があり、悪くなった弁の種類や程度によりいずれかを選択します。
また、当院では、僧帽弁閉鎖不全症に対し、抗凝固薬が不要で術後QOLの高い弁形成術を積極的に行っています。 - <胸部大動脈疾患>
- 心臓から全身に向かう血液は、大動脈を通過した後に枝分かれを繰り返し、最終的にいろいろな臓器に運ばれていきます。大動脈は横隔膜を境にして頭側の胸部大動脈と足側の腹部大動脈に分けられます。胸部大動脈の壁が弱くなり徐々に膨らむ病気は大動脈瘤と呼ばれ、壁に亀裂が生じて血液が入り込み縦方向に裂けていく病気は胸部大動脈解離と呼ばれています。胸部大動脈瘤の多くは無症状ですが、一旦破裂するとショック状態に陥り死に至る危険性が非常に高い病気で、瘤の大きさや形によって手術時期を決めます。胸部大動脈解離は突然の激しい胸痛や背部痛で発症しますが、突然死する危険もあるため解離を起こした範囲によっては緊急手術が必要になります。胸部大動脈瘤や胸部大動脈解離の手術方法としては人工血管置換術を行いますが、症例によっては血管内治療(ステントグラフト治療)が望ましい場合もあります。
いずれの手術もより質が高く、安全な手術を心掛けています。ご安心ください。
外来、入院統計
2023年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外来述べ 患者数 |
84 | 65 | 64 | 82 | 52 | 94 | 70 | 80 | 83 | 85 | 62 | 99 | 920 | 76.7 |
入院延べ 患者数 |
66 | 79 | 68 | 159 | 106 | 106 | 67 | 64 | 155 | 109 | 160 | 180 | 1,319 | 109.9 |
手術実績
診療科 | 開心術 | 2023年度 (含 重複手術) |
---|---|---|
心臓外科 | 単独冠動脈バイパス術 | 8 |
複合冠動脈バイパス術(弁膜症もしくは大動脈手術との組み合わせ) | 1 | |
大動脈弁置換術 | 12 | |
僧帽弁置換術 | 2 | |
僧帽弁形成術 | 10 | |
三尖弁形成術 | 4 | |
上記中複数弁同時手術 | 4 | |
メイズ手術 | 4 | |
大動脈基部置換術 | 1 | |
収縮性心膜炎手術 | 1 | |
左室自由壁破裂修復術 | 1 | |
計 | 48 |
外来医師担当表
《 予約制 》曜日 | 午前 | 午後 |
---|---|---|
月 | ― | ― |
火 | ― | ― |
水 | ― | ― |
木 | ― | ― |
金 | 牛島 輝明 | ― |
土 | ― | ― |