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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成27年2月

平成27年2月24日(担当:吉永)

Early and late outcomes of acute type Aaortic dissection with intramural hematoma J Thorac Cardiovasc Surg. 2015Jan;149(1):137-42. doi:
10.1016/j.jtcvs.2014.10.028.

Intramural hematoma(IMH)による急性A型解離の術後の早期成績と遠隔期成績を検証。

2000年から2013年に、筆者らの施設で手術をされた418例の急性A型解離の患者が対象。IMHによるA型解離の群(IMH群)とIMHではない典型的なA型解離の群(非IMH群)に分けて、解析された結果、IMH群は、64例。
非IMH群は354例でした。
IMH群の方が高齢で、息切れ、循環障害、脈拍欠損、中等度から高度のAR、90以下の低血圧、破裂は少ないという結果でした。
両群間で、カニュレーション、術式、術中輸血に差はありませんでしたが、IMH群の方が発症から手術までの時間が長く、体外循環時間、大動脈遮断時間、逆行性脳灌流時間は有意に少ないという結果でした。
術後30日以内の死亡、入院死亡は両群間で差はありませんでした。
非IMH群では発症から3日以内に28例(7.9%)が死亡しましたが、IMH群では死亡はありませんでした。
年齢と術前の腎機能を調整して遠隔期の生存率を検証したところ、IMH群の方が生存率は有意に良いという結果でした。

平成27年02月10日(担当:武田)

難治性狭心症における冠静脈洞径縮小デバイスの有効性
N Engl J Med 2015; 372:519-527February 5, 2015.

【背景】
血行再建の適応とならない、難治性冠動脈疾患による狭心症の患者に対し、冠静脈洞径を縮小させる砂時計型のバルーン拡張型デバイスの有効性を検証した。

【方法】
カナダ心血管学会(CCS)分類でIII~IV 度の重症狭心症を有し、血行再建術の適応とならない患者104例を、デバイス植込群(治療群)と偽治療群(対照群)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、6ヵ月の時点でCCS分類が2度以上改善した患者の割合とした。

【結果】
6ヵ月の時点でCCS分類が2度以上改善したのは、治療群35%、対照群15%であった(P=0.02)。
また,治療群の71%でCCS分類が1度以上改善し、対照群では42%であった(P=0.003)。
シアトル狭心症質問票を用いて評価したQOLは、治療群では対照群と比較して有意に改善した。
運動負荷時間や、ドブタミン負荷心エコー検査による評価では、有意差は認められなかった。

結論】
Phase IIの小規模臨床試験では、血行再建の適応とならない難治性狭心症患者において、冠静脈洞径縮小デバイスは,症状とQOLを有意に改善させた。