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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成25年11月

平成25年11月22日(担当:柘植)

Coronary Revascularization in Diabetic Patients:
Off-Pump Versus On-Pump Surgery
Ann Thorac Surg 2013;96:528–34
糖尿病患者に対するoff-pump CABGの、on-pump CABGに対する優位性を検討。ドイツの1施設で2009年2月から2011年10月にCABG単独手術を行った糖尿病患者857人(off-pump 355人、on-pump502人)について比較したコホート研究。propensity scoreマッチングにより解析。プライマリエンドポイントは30日死亡率。セカンダリエンドポイントは主要合併症と死亡率とした。
結果:Off-pump群は30日死亡率が有意に低く(オッズ比0.09)、術後神経学的合併症(同0.31)、血液濾過(同0.30)、6ヶ月死亡率(ハザード比0.27)、1年死亡率(同0.40)と、off-pump群の成績が良好であった。

平成25年11月13日(担当:武田)

Thrombus Aspiration during ST-Segment Elevation Myocardial Infarction
N Engl J Med 2013; 369:1587-1597
スウェーデンを中心に、アイスランド、デンマークの3ヶ国でST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者約7300例に対し、血栓吸引療法(TA)を施行後にPCIを施行した群(TA+PCI群)とPCIを単独で行う群(PCI群)に無作為に1:1で割り付け、30日間の予後を調査した。30日時点での死亡率は2.8%(TA+PCI群)と3.0%(PCI群)で両群間に差は無く、また、再入院や再梗塞率でも両群間で差は認めなかった。STEMIに対し、PCI前のTA施行では、発症後30日の時点で死亡率の改善は得られなかった。

平成25年11月8日(担当:吉永)

A Randomized Trial of Colchicine for Acute Pericarditis
N Engl J Med 2013;369:1522-1528
急性心膜炎に対するコルヒチンの有効性、安全性、再発予防効果について検証した試験。
従来の治療方法であるアスピリン、イブプロフェン、ステロイド投与を受けている急性心膜炎患者240例をコルヒチン投与群120例とプラセボ群120例に無作為に割り付けた。コルヒチンの投与期間3か月間で、投与量は、体重70kg以上の患者は1回0.5mgを1日2回。 体重70kg以下の患者は1回05.mgを1日1回で行われた。1次エンドポイントは症状の持続もしくは再発とした。
結果、症状の持続もしくは再発を認めた患者は、コルヒチン群で20例(16.7%)、プラセボ群で45例(37.5%)とコルヒチン群で有意に少なかった。コルヒチン群では、投与72時間後の症状の持続、1週間後の寛解、患者1人当たりの再発の回数、心膜炎に関連した入院数、最初の再発までの時間に関して、プラセボ群より有意に優れていた。
また、両群間で有害事象やその発生率に有意差は認められず、重大な有害事象も認められなかった。

平成25年11月1日(担当:高田)

Risk of Major Adverse Cardiac Events Following Noncardiac Surgery in Patients With Coronary Stents JAMA. 2013;310(14):1462-1472
<背景>AHA/ACC guidelineでは冠動脈ステント留置後は、DESでは半年以降、BMSでは6週間以降の手術を推奨している。しかしこれに関するエビデンスは限られたものであり、確立されたものでない。
<目的>冠動脈ステント留置後の非心臓手術における合併症を規定する因子を探る。
<方法>米国退役軍人省関連病院において、2000年から2010年の間に冠動脈ステント留置された患者に対する2年以内の非心臓手術41,989件を後ろ向きに登録した。患者背景、手術法、心臓リスクで調節後、非線形一般化加法モデルで手術までの期間およびステントのtypeとMACEとの関係を解析した。また、抽出した患者によるcase-control studyにおいて、抗血小板療法とMACEとの関係を調べた。主要outcomeは術後30日以内の、全死亡、MI、冠動脈再灌流療法からなるMACE。
<結果>124,844人の冠動脈ステント留置患者で2年以内に非心臓手術を受けたのは28,029人であり、そのうち4.7%の1980件の手術でMACEが発生した。ステント留置から手術までの時間とMACEの発生率には関連がみとめられた(6週間以内が11.6%、6週から6か月が6.4%、6-12か月が4.2%、12-24か月が3.5%、p<0.001)。調整後の、MACEと最も関係がみとめられた3つの因子は、非待機手術、6か月以内のMI、revised cardiac risk indexであった。12因子を投入した解析モデルにおいて、手術までの時間は5番目に関連の強い因子であった。ステントタイプについては、関連が最も弱く、DESとMACEの間に関連はみとめられなかった。ステント留置後6か月以降は、DES、BMSでMACEの発生に差がみとめられませんでした。患者背景をマッチさせて抽出した284人でのcase control studyでは、抗血小板療法の休薬とMACEとの間には関連がみとめられなかった。
<結論>冠動脈ステント留置後2年以内に非心臓手術を受ける患者において、MACEと関連がみとめられたのは、緊急手術、高い術前心リスクであり、半年以降はステントのタイプ、および手術までの時間はMACEと関連がみとめられなかった。DES、BMSのステントの種類および手術までの期間を強調した現行ガイドラインは再考の余地がある。