循環器内科
循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成25年7月
- 平成25年7月19日(担当:柘植)
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Safe exclusion of pulmonary embolism using the Wells rule and qualitative D-dimer testing in primary care: prospective cohort study.BMJ 2012;345:e6564.
Wells ruleとD-dimerの併用は、プライマリ・ケアにおいて肺塞栓の除外診断に有用かを検討。
2007年~2010年の期間、オランダの3地域において症状から肺塞栓症が疑われた患者を対象に前向きコホート研究を行った。
Wells score 4以下かつD-dimer陰性の場合、感度94.5%、特異度51.0%、偽陰性率1.5%となり、両者の併用で肺塞栓を安全かつ効果的に除外できるという結果になった。 - 平成25年7月12日(担当:兼光)
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Use of Azithromycin and Death from Cardiovascular Causes
(N Engl J Med 2013; 368: 1704-12)
アジスロマイシン(AZM)の使用が心血管病のリスク群では心血管病による死亡リスクを増加させることは知られているが、一般人においても同様であるかは不明であった。1997年から2010年の間、処方データ、死因などが入手できるオランダ人成人(18-64歳)を対象としたコホート研究。
AZM 1102050エピソード 対 抗菌薬なし 1102050エピソード
AZM 1102419エピソード 対 PCV 7364292エピソード
を比較した。
AZM群は抗菌薬なし群を比較すると、心血管病による死亡のリスクは増加あり。AZM群は心血管病による死亡は17例 (1.1/千人年)、PCV群は146例(1.5/千人年)。propensity scoreで調整するとAZM群とPCV群に差はなし。リスクの増加が、AZM対抗菌薬なし群で差があり、AZM対PCV群で差がなかったことは、治療による差ではなく治療対象となった感染症や感染症治療を受ける群の特徴に原因があるだろうと考察されていた。
一般的なオランダ人若年、中年の成人においては、AZMの使用は心血管病による死亡のリスクを増加させなかったと結論している。 - 平成25年7月5日(担当:柴)
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Effect of Spironolactone on Diastolic Function and Exercise Capacity in Patients with Heart Failure with Preserved Ejection Fraction The Aldo-DHF Randomized Controlled Trial
JAMA. 2013 Feb 27;309(8):781-91. doi: 10.1001/jama.2013.905.
本試験は、スピロノラクトンによる拡張機能と運 動耐容能への効果をHFPEFを対象にして検討するために企画され、ドイツとオースト ラリアの10施設が参加して行われた。対象はNYHA II度以上の症状を有する50歳以上のHFPEF患者である。エントリーに際しては、左心室駆出分画が50%以上、心ドップラー試験でgrade-1以上の拡張障害か心房細動の合併がある、呼気ガス分析施行下でのpeak VO2が25mL/kg/min以下であること、を満たすことが必要条件とされた。
対象患者は一日25mgのスピロノラクトンないしプラセーボ投与にランダムに割り付けられ、一次評価項目は、(1)12ヶ月後のE/e'、(2)12ヶ月後のpeak VO2とされた。登録患者は422名の歩行可能な患者で、平均年齢67歳、52%が女性であった。平均11.6カ 月の追跡期間において、拡張機能(E/e')はスピロノラクトン群では低下が認められたのに対しプラセーボ群ではむしろ増加が認められ2群間の変化には有意差が認められた。peak VO2は、 両群でやや増加が認められたが、両群間に有意差は認められなかった。一方、Left ventricular massとN-terminal pro-BNPは スピロノラクトン群で有意な改善が認められた。しかしながら、心不全症状とQOLスコアの変化では両群に改善はなく、6分間歩行距離においてはスピロノラクトン群で有意な減少が認められた。さらに、スピロノラクトン群では、有意な血清K値の増加と糸球体濾 過量の低下が認められた。