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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成25年6月

平成25年6月28日(担当:上小牧)

Association of Perioperative β-Blockade With Mortality and Cardiovascular Morbidity Following Major Noncardiac Surgery JAMA. 2013;309(16):1704-13
非心臓手術を受けた患者の術後30日間の予後と、周術期早期のβブロッカー使用の関連を決定することを目標として行われた研究である。
2005年1月から2010年8月までの間の、104の医療センターの延べ136,745人の患者をpropensity scoreで1:1に調和させ37,805人のペアに分け、βブロッカーを非心臓手術の術日または手術終了後に使用することの評価を後ろ向きcohort分析にて行った。30日間の全ての死亡、心疾患発症(心停止またはQ波心筋梗塞)を比較した。
propensity score matchingを行ったcohortでは、βブロッカー使用は低死亡率と関連した(相対危険度0.73、95%信頼区間 0.65~0.83;P<0.001)。2~4個の心危険指数要因を持つ患者では、βブロッカーの使用は著明な死亡率低下と関連したが、こ の関連は非血管手術を受けた患者に限られた。βブロッカーの使用は、非致死的Q波心筋梗塞と心停止の減少とも関連したが、これも非血管手術患者に限られた。
propensity score matchingを行った非心臓非血管手術を受けた患者では、βブロッカーの使用が2つ以上の後で調べた心危険指数要因を持つ患者の30日間の全死亡の低下と関連した。このことは、心危険指数要因の使用が周術期のβブロッカー使用の開始と継続を決定することをサポートしている。心危険指数要因における低リスクから中等度リスクの患者を含む多施設無作為抽出試験が、この観察結果が正しいことを証明するであろう。

平成25年6月21日(担当:田川)

Biventricular Pacing for Atrioventricular Block and Systolic Dysfunction
N Engl J Med. 2013;368:1585-93.
背景:右室心尖部ペーシングの割合が高いと左室収縮機能不全が促進される可能性がある。両室ペーシングにより患者の死亡率、障害発生率、有害な左室リモデリングが低下されるかどうか検討した。
方法:房室ブロックに対するペーシングの適応があり、NYHAⅠ~Ⅲ度の心不全を有し、左室駆出率50%以下の患者を登録した。患者に心臓再同期ペースメーカーまたはICDを植え込んだあと、標準的な右室ペーシングと両室ペーシングのいずれかに無作為に割り付けた。
結果:691例を37ヶ月追跡。主要転帰(全死因死亡、経静脈的治療を有する心不全での緊急来院、左室収縮末期容積係数の15%以上の増加)は右室ペーシング群では342例中190例(55.6%)、両室ペーシング群では349例中160例(45.8%)に発生。経時的な主要転帰の発生率は、両室ペーシング群の患者のほうが右室ペーシング群の患者よりも有意に低く、(ハザード比0.74、95%信頼区間0.6-0.9)、結果はペースメーカー群とICD群で同等であった。
結論:房室ブロック、左室収縮機能不全、NYHAⅠ~Ⅲの心不全を有する患者において両室ペーシングは右室ペーシングより優れていた。

平成25年6月07日(担当:兼光)

n-3 Fatty Acids in Patients with Multiple Cardiovascular Risk Factors
(N Engl J Med 2013; 368: 1800-8)
心筋梗塞の既往がない、心血管病の 多重リスクを持つ患者群に対して、n-3不飽和多価脂肪酸(PUFA)の併用が心血管病による死亡を減らすことに有益かどうか検討。
double-blind, placebo-controll試験(実薬はn-3PUFA 1g/日、 偽薬はオリーブオイル1g/日)。一次エンドポイント(PEP)は、心血管病による死亡、入院とした。実薬群で中性脂肪が有意に低下した以外は有意な変化はなし。PEP発生は、実薬群10.3%、 偽薬群10.1%で有意差なし。心不全による入院件数は、実薬<偽薬で有意差あ り。PEP発生は女性<男性であり、実薬・偽薬間でも有意差あり。
GISSI-PrevenzioneやGISSI-HFとの違いはなにか?
n-3PUFAの有益性は心臓突然死の減少が寄与。今回の試験では、心臓突然死や冠動脈疾患死が少なかった。n-3PUFAは心室性不整脈イベントを起こしやすい患者に対して効果があると考えられて いるが、今回の試験では心臓突然死や不整脈イベントを検出するパワーが不足していたと考察あり。