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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成25年5月

平成25年5月24日(担当:國友)

Coronary artery bypass graft surgery versus percutaneous coronary intervention in patients with three-vessel disease and left main coronary disease: 5-year follow-up of the randomised, clinical SYNTAX trial
Lancet 2013; 381: 629–3
(背景)SYNTAX trialは、左主幹部病変と3枝病変を有する重症冠動脈病変患者を対象にした、第一世代DES(パクリタキセル溶出ステント)のCABGに対する非劣性を評価する試験である。2005年3月~2007年4月までの症例で、ランダム化試験に1800例が振り分けられており、LMT病変はPCI群で38.5%、CABG群で38.8%を占めている。
本論文では、SYNTAX trial ランダム化試験5年の遠隔成績を出している。
(結果)ハードエンドポイントにおいて、(1)総死亡率は有意差なし(2)心筋梗塞は2年目以降PCI群が有意に多くなり、5年時点でもPCI群が有意に多かった(3)strokeは1年ではCBAG群が有意に多かったが、2年目以降差はなかった(4)ハードエンドポイントの合算ではPCI群が有意に多かった。ソフトエンドポイントである再血行再建率はPCI群が多く、ハード+ソフト合算であるMACCE発生率でもPCI群が有意に多かった。SYNTAX score 別のMACCE発生率では、低スコアでは両群に差はなく、中スコア以上でPCI群が有意に多かった。
病変別にSYNTAX scoreとMACCE発生率を解析すると、LMT病変患者では中スコアまで両群に差はなく、高スコアでPCI群が有意に多くなっていた。一方、3枝病変患者では低スコアで有意差はないものの、中スコア以上では有意にPCI群が有意に多くなる結果であった。
(結論)SYNTAX scoreが解剖学的な冠動脈の複雑さを表現していることを考えると、病変が複雑になればまるほどPCI治療は難度が上がり、結果遠隔成績に影響を与えている。一方でCABGはSYNTAX scoreの影響を受けておらず、その成績は解剖学的な複雑さとは無縁である。
SNTAX中スコア以上の複雑病変症例において、CABGは未だに標準治療とされるべきであるが、SNTAX低スコア症例、もしくは中スコア以下のLMT病変症例へのPCIはacceptableである。複雑な冠動脈病変については、インターベンション循環器内科医と心臓外科医との話し合いで、最良の治療を検討すべきである。

平成25年5月10日(担当:吉永)

Effects of Off-Pump and On-pump Coronary-Artery Bypass Grafting at 1 Year
N Engl J Med 2013;368(13):1179-88
Off-pump CABGを施行された2375例とOn-pump CABGを施行された2377例の1年間の成績を比較、検証した試験:術後1年における死亡率、非致死性の心筋梗塞、脳梗塞、透析導入を要した腎不全の発症率は両群間で有意差はありませんでした。また、再血行再建率、QOL、神経認知機能に関しても両群間で有意差はありませんでした。

平成25年5月2日(担当:武田)

Treatment of Anemia with Darbepoetin Alfa in Systolic Heart Failure
N Engl J Med 2013; 368:1210-1219.
左室収縮能低下を原因とする心不全かつ、貧血を合併する患者群にダルべポエチンを投与し、予後が改善されるかを調査したランダム化二重盲検試験(RED-HF)の結果が報告された。
2278名の収縮障害型心不全かつ中等度の貧血(血清ヘモグロビン濃度9.0-12.0g/dl)を有する患者群をダルべポエチン投与群とプラセボ群に分け、約5年追跡調査した。結果、ダルべポエチン投与群は目標通りの貧血の改善効果を達成したものの、全死亡、心臓死、心不全による入院といったエンドポイントを有意に改善しなかった。中等度の貧血を有する収縮障害型心不全の患者群に対しては、ダルべポエチン投与による予後改善効果は認められなかった。