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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成24年11月

平成24年11月20日(担当:菅野)

Intraaortic Balloon Support for Myocardial Infarction with Cardiogenic Shock
N Engl J Med 2012. DOI: 10.1056/NEJMoa1208410
急性心筋梗塞による心原性ショックを発症した早期に血行再建術予定の600人の患者をIABPグ ループ301人あるいは無IABP の対照群299人に割り当て、心原性ショックを合併した心筋梗塞に対するIABPの効果について議論した。30日間の全死因死亡はIABPグループ中の119人(39.7%)および対照群中の123人(41.3%)であった。その結果、今回の研究ではIABPは心原性ショックを合併した心筋梗塞に対して死亡率を有意に軽減できていないという事を結論付けた。

平成24年11月13日(担当:兼光)

Long term outcomes in men screened for abdominal aortic aneurysm: prospective cohort study
BMJ 2012;344:e2958 (Published 4 May 2012)
スコットランドの地方で8146人の男性を対象としたコホート研究。腹部大動脈径で1)30mm以上、2)25-29mm (ecstatic aorta)、3)24mm以下の三群に分けて、罹病率、死亡率について検討した。ectatic aorta群では、24mm以下の群に比して死亡率や心血管病、慢性閉塞性肺疾患による入院のリスクが高かった。また、計測後2年で、ectatic aorta群では、腹部大動脈瘤による入院が増加した。これらの結果から、著者らはectatic aorta群には危険因子のコントロールや、大動脈径の再測定が必要だろうと結論した。

平成24年11月6日(担当:吉永)

Aortic root conservative repair of acute type A aortic dissection involving the aortic root: Fate of the aortic root and aortic valve function
J Thorac Cardiovasc Surg 2012;12:1010-7.
大動脈基部まで進展した急性A型解離の手術時に人工血管置換術と大動脈弁形成術(resuspension)を施行された患者196例について、大動脈弁形成術の有用性と術後の大動脈基部の拡大と大動脈弁逆流(AR)を検証した試験:結果は、早期死亡率は5.1%と良好で、ARも有意に改善していました。中等度以上のARをきたした症例は5例、大動脈基部が45mm以上に拡大した症例は19例で、大動脈基部置換術を要したのはLoeys-Dietz症候群の1例のみでした。
解析の結果、発症時の大動脈基部の最大径は術後のARと大動脈基部拡大の予測因子となるとの報告でした。大動脈弁形成術は有用な術式ですが、将来、大動脈基部の拡大が予想される症例に対しては、大動脈基部置換術、reimplantationなどの術式を考慮すべきだと指摘されていました。