循環器内科
循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成24年7月
- 平成24年7月17日(担当:上小牧)
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Effects of Exercise Training on Health Status in Patients With Chronic Heart Failure HF-ACTION Randomized Controlled Trial JAMA. 2009;301(14):1451-1459.
Efficacy and Safety of Exercise Training in Patients With Chronic Heart Failure HF-ACTION Randomized Controlled Trial: JAMA. 2009;301(14):1439-1450
心不全に対して運動療法が効果的であるか否か、大規模無作為試験が2003年から2007に渡りアメリカ、カナダ、フランスの82施設で無作為試験が行われた。
心不全症状の質問票(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire)による調査では、通常治療群に比し、運動療法群では有意に改善がみられた。しかし、全死亡、すべての入院、心血管死、心血管疾患による入院、心不全による入院は、運動療法群と通常治療群に有意差がみられず、予後予測因子で補正すると運動療法群で有意に改善していた。運動群で目標運動レベル以上の運動が継続できたのが30%だったのに対し、通常治療群の中でも8%が自発的に運動を継続していたことなどが、一次解析で有意差の出なかった理由であると考えられる。 - 平成24年7月10日(担当:兼光)
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Association of a difference in systolic blood pressure between arms with vascular disease and mortality: a systematic review and meta-analysis
Lancet 2012; 379: 905-14
上肢の収縮期血圧の10mmHg、または15mmHg以上の差は末梢血管疾患と関係。筆者らは、20本の過去の研究を対象にメタ解析を行ない、血管性疾患や死亡率との関係を調査。15mmHg以上の差は、末梢血管疾患のみならず脳血管疾患とも関係し、心臓血管死や全死亡のハザード比が有意に増加。10mmHg、または15mmHg以上の差は、より詳しい血管の評価が必要な患者を同定する手助けとなる可能性があり、15mmHg以上の差は血管疾患や死亡のリスク指標となる可能性があると筆者らは解釈。 - 平成24年7月3日(担当:國友)
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Renal sympathetic denervation suppresses postapnetic blood pressure rises and atrial fibrillation in a model for sleep apnea.
Hypertension 2012;60:172-8
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は、高血圧や心房細動、自律神経失調症の発生に深く関係していると考えられていますが、その発生機序には未だ不明な点が多くあります。一方、腎動脈周囲の交感神経に対するカテーテルアブレーション(RDN)は、近年薬剤抵抗性の高血圧症に有効であることが示され、既にヨーロッパおよびオーストラリアにおいては臨床使用されています。
この論文は、ブタを用いたOSAモデルにおいてRDNが血圧上昇の抑制、心房細動の発生予防に有用であることを示しました。またβブロッカー使用群との比較およびアトロピンが心房有効不応期(AERP)短縮を完全抑制した結果から、血圧上昇は主としてαレセプター経路によるものであり、心房細動発生は迷走神経興奮によるAERP短縮によるものではないかと推察しています。RDNが直接的に迷走神経を抑制することはありませんので、交感神経が抑制された結果AERP短縮作用を有するアセチルコリンに対する閾値が上がったのではないかと考えられます。