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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成26年8月

平成26年8月6日(担当:大槻)

Stenting and Medical Therapy for Atherosclerotic Renal-Artery Stenosis.
N Engl J Med. 2013 Nov 18
<背景>動脈硬化性腎動脈狭窄は高齢者によく見かける疾患である。腎動脈へのステント留置の利点を示していない2つの無作為試験があるにもかかわらず、主要な腎、冠血管イベントを予防するためのステント留置術の有用性は定まっていない。
<方法>動脈硬化性腎動脈狭窄(血管造影で80%以上狭若しくは60から80%未満狭窄で圧格差20mmHg以上)があり、高血圧(降圧薬を2剤以上服用しておりかつ収縮期血圧155mmHg以上)もしくは慢性腎臓病(eGFR 60未満)の947人を無作為に割り付けた。
参加者は心血管・腎疾患イベント発生をエンドポイントとした。(心血管・腎イベントによる死亡、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院、腎機能悪化、透析導入)
<結果>フォローアップ期間の中央値は43か月(四分位範囲は31から55か月)、主要複合エンドポイント発生率は薬物療法とステント留置術をうけた参加者と、薬物療法のみの参加者では有意差は認められなかった。(薬物療法とステント留置術で35.1%、薬物療法のみで35.8%、ハザード比0.94。95%信頼区間0.76-1.17、p=0.58)
また、心血管・腎イベントによる死亡、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院、透析導入にも有意差は認められなかった。
フォロー期間で、薬物療法とステント留置を行った群で収縮期血圧に有意差が認められた。(-2.3mmHg、95%信頼区間-4.4~-0.2、P=0.03)
<結論>動脈硬化性腎動脈狭窄症があり、高血圧ないしは慢性腎臓病に罹患した参加者に、薬物療法と腎動脈ステント留置した参加者と薬物療法のみの参加者に有意差は認められなかった。