循環器内科
心不全
あなたの心臓は疲れていませんか?~心不全ってどんな病気?~
心不全は怖い病気です。だんだん増加しています。
- ■ 心臓は血液を送るポンプです
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心臓は全身に血液を送るポンプです(下図)。このポンプの働きが正常でないときに「心不全」という病気になることがあります。坂道や階段での息切れ、全身倦怠感、体重の増加、むくみなどが心不全の症状として多く認められます。
- 心臓は、全身に血液を送り出すポンプの働きをしています。
- 生命維持に必要な酸素や栄養素などを含む血液を、拍動によって肺や全身へめぐらせます。
肺循環:心臓と肺のあいだをめぐる血液循環です。肺で酸素を取り入れ、二酸化炭素を放出します。
体循環:心臓と全身のあいだをめぐる血液循環です。酸素や栄養素を全身へ届け、二酸化炭素や老廃物を運び去ります。 - ■ こんな症状があったら心不全かも
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<体が要求する血液を送り出せないためにおこる症状>
・坂道・階段での息切れ
・日中の尿量・回数の減少
・手足が冷たい感じ
・全身倦怠感
<体に血液が滞ってしまう「うっ血」によって起こる症状>
・体重の増加(2~3kg以上の増加)
・食欲不振
・夜間の尿量の増加
・むくみ
・夜間の呼吸困難や咳 - ■ 心不全は心臓が疲れた状態です
- 心臓が本来の仕事をできず、体が要求する血液を送り出せないときや、体に血液が滞ってしまうことによって起こります。心不全は高齢者に多い病気の一つで、様々な心臓疾患が重症の状態になった時に起こってきます。いわば心不全は心臓が疲れた状態とも言えます。
- ■ どんな原因が多いのでしょうか?
- 特に、高血圧や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)が原因となることが多いと考えられています。
- ■ 先進国では心不全が増えています!
- 心不全は先進国を中心にして増加していると考えられています。下図はアメリカ合衆国で心不全患者数が今後増加していくことを予測したグラフです。心不全になると寿命は短くなり、一年後の死亡率は7~8%と報告されています。
心不全は簡単な検査で見つけられます
心不全かどうかを見つけるためには病院で検査を受けましよう。
- ■ 病院ではこんな検査をします
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外来でお話を伺って、いくつか検査をするだけで心不全かどうかを判定することができます。心不全は心臓だけの病気ではなく全身にさまざまな異常を引き起こす全身の病気と考えられています。
- 心電図検査
- 胸部X線検査
- 血液検査(BNPなど)/尿検査
- 心エコー検査
- CT、MRI、心臓核医学検査
- 運動負荷検査
- 心臓カテーテル検査(心内圧測定、左室造影、冠動脈造影など)
- ■ 心不全は全身の病気です
- ■ 心不全はだんだん悪くなります
- v心不全はきちんと治療をしないと、だんだん悪くなっていく病気です。
- ■ 心不全の予防・生活習慣の改善
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なるべく早くみつけて、専門医のもとで早く治すことが長生きの秘訣です。なによりも心不全にならないことが一番重要です。
- 禁煙
- 体重減少
- アルコールの過剰摂取をやめる
- 食塩や脂肪のとり過ぎをやめる
- 適度の運動
- ストレスを避ける
- 自己管理の徹底
- 病院に定期的に通院
- 過度の水分摂取を避ける
- ■ 心不全になったら十分な治療が必要です
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心不全になってしまったら、十分な薬物治療をするのが大事です。外科治療が有効な患者様もいらっしゃいます。それ以外にも日常生活の注意や休養や適度な運動も有効です。
<日常生活の注意:食事など>-
塩分を控える
軽症の場合で一日7g以下、重症で一日3g以下を目安に制限します。 -
水分を取りすぎない
むくみ、体重増加、重症などの場合、医師と相談の上で制限することがあります。 -
禁煙
必ず禁煙します。 -
飲酒を控える
原則として禁酒します。
※慢性心不全の治療では患者さんによる食生活の管理が重要です。
<休養や運動>- 十分な休養と睡眠
- 症状に合わせた適度な運動
- 精神的・身体的ストレスの回避
※十分な休息と適度な運動を心がけ、無理のない生活をおくりましょう。
患者様お一人おひとりにもっとも適した治療を選ぶことが必要です。ぜひご相談ください。 -
塩分を控える