診療科のご案内

当院で特徴的な治療法について：
ロボット手術

ロボット手術とは

体に1～2cmの小さな傷を数箇所作り、そこから内視鏡や専用の器械を入れて手術を行う方法です。痛みが少なく術後の回復が早い、出血が少ない、入院期間が短いなどの利点があります。一方、一般の開腹手術よりも高い技術と経験が必要です。現在、ロボットで行われている手術は、前立腺がん、膀胱がん、腎臓がん（全摘除・部分切除）、腎盂尿管がんや副腎腫瘍、腎盂尿管移行部狭窄症、骨盤臓器脱などです。当院では、豊富な経験を持ちプロクターの資格のある医師が中心に手術を行なっています。

入院までの準備

入院までは、特に生活上の注意はありません。ただし血液が止まりにくい薬を飲んでいる場合は、必ず担当医に伝えてください。そのまま服用していると手術ができないことがあります。

ロボット支援前立腺全摘除術（RARP）

次のような利点があります。

• 手術中の出血が少ない。ほとんどの場合、無輸血で行えます。
• 術後の痛みが少ないため手術後の回復が早く、入院期間が短いです。
• がんの制御とともに機能温存（尿禁制、性機能）を達成しやすくなった。

入院期間

入院期間は１週間程度です。

手術の方法

1. トロカーと言われる筒状の管を計6本下腹部に挿入します（図1）。
2. トロカーのひとつから炭酸ガスを注入し、腹部を膨らませ内視鏡の視野を良くします。
3. 頭低位、砕石位でダビンチとドッキングします（図2）。
4. トロカーより鉗子や切開装置を入れて前立腺および精嚢を摘除します。
5. 尿道断端と膀胱との間を吻合します（図3）。
6. 臍上のトロカーの傷より前立腺および精嚢を取り出します。
7. 傷を閉じて手術が終了します。

手術後のスケジュール

手術の翌日に歩行、飲水、食事ができるようになります。
体内にたまった血液やリンパ液などを排出する管がおなかから出ます。これは経過をみて1～2日ほどで抜きます。
尿は尿道から膀胱に挿入した管から持続的に排出されます。この管は術後6日ほどで抜きます。

ロボット支援膀胱全摘除術(RARC)

当院では浸潤性膀胱がんに対して積極的にRARCを行っています。

• 開腹手術と比較して手術中の出血が少ない。
• 内視鏡（カメラ）を用いることにより小さな穴から体の中を詳しく観察することができる。
• 術後の痛みが開腹手術と比較して少ないため手術後の回復が早い。
• 術後の腸閉塞発生頻度が開腹手術と比較して少ない。

入院期間

入院期間は約2週間程度ですが、術後のストーマの管理を覚えていただく時間もあり、3から4週間ほどになることもあります。

手術の方法

1. トロカーと言われる筒状の管を計6本下腹部に挿入します。
2. トロカーのひとつから炭酸ガスを注入し、腹部を膨らませ内視鏡の視野を良くします。
3. 頭低位、砕石位でダビンチとドッキングします。
4. トロカーより鉗子や切開装置を入れて、膀胱と尿管の周りをはくりします。
5. 膀胱を摘除します。
6. 尿路変向として回腸導管を体腔内で作成します（尿管を回腸導管の端っこに吻合）（図1）。
7. 腹部を切開し、回腸導管を体外し引っ張り出してストーマを作成します（図2）。
8. 傷を閉じて手術が終了します。

尿路変向について

膀胱摘徐後は尿を体外に出すために尿路変向が必要となります。
尿路変向には(1) 尿管皮膚ろう、(2) 回腸導管、(3) 代用膀胱の3種類があります。

(1) 尿管皮膚ろう

尿管の断端をそのまま皮膚に開口させる方法です。ストーマができるため、パウチと呼ばれる尿をためる袋状の道具を皮膚に貼り付ける必要があります。高齢者の方や、合併症のため複雑な尿路変向ができないときに行います。

(2) 回腸導管

小腸（回腸）の一部を、尿を体外へ導く管（導管）として用いる方法です。ストーマができるため、パウチと呼ばれる尿をためる袋状の道具を皮膚に貼り付ける必要があります。合併症が少なく、今でも利用されることが多い一般的な方法です。

(3) 自己排尿型代用膀胱

小腸の一部を用いて袋状に縫い直し、新膀胱として用いる方法です。新膀胱は尿道に吻合するため、自然に尿道から排尿できるのが特徴です。本来の尿意がなくなるため、時間を決めて排尿することが必要になります。手術は多少複雑になりますが、術後はストーマが不要です。お腹にパウチと呼ばれる袋も必要ないため、患者さんの生活の質(QOL)は非常によいものです。

手術後のスケジュール

手術後は数日間かけて体の回復を待ちます。傷の状態により、術後数日から歩行ができ、適宜、飲水が始まり、手術後の腸管の回復具合を見て食事ができるようになります。術後のスケジュールは尿路変向の方法により異なります。

ロボット支援腎部分切除術(RAPN)

次のような利点があります。

• 手術中の出血が少ない。ほとんどの場合、無輸血で行えます。
• 術後の痛みが少ないため手術後の回復が早く、入院期間が短い。
• 腎機能が比較的温存されるため、もともと腎臓の悪い患者様にも行うことができる。

入院期間

入院期間は約１週間ほどです。

手術の方法（右腎の場合）

1. 側臥位にてトロカーと言われる筒状の管を計6-7本挿入します。
2. トロカーのひとつから炭酸ガスを注入し、お腹を膨らませ内視鏡の視野を良くします。
3. 側臥位のまま、ダビンチとドッキングします（図１）。
4. トロカーより鉗子や切開装置を入れて、腎臓へいく動脈を探します。
5. 腎臓を周りの組織からはがして、超音波でがんの場所を確定します。
6. 腎動脈に鉗子をかけて、一時的に血流を遮断します。
7. がんに周囲の正常腎臓組織を付けて、切り取ります。
8. 切断面の止血を確認し切り出したところを縫い合わせます。縫い合わせた後に動脈の鉗子を外して血流を再開します（図2）。
9. 止血を確認後、最初に開けた穴から、切り取った組織を取り出します。

手術後のスケジュール

手術の翌日に歩行ができ、飲水、食事ができるようになります。
様子をみて退院を決めます。術後に腎臓を縫ったところより出血したり、血尿が出ることがあります。その場合はすぐにお知らせください。
完全に腎臓のがんが取り切れている場合、追加治療なく経過観察となります。

当院で特徴的な治療法について：
前立腺肥大症に対する外科的治療法

ツリウムレーザー前立腺蒸散術（ThuVAP：Thulium laser Vaporization of the Prostate）

ThuVAPについて

ThuVAPは、内視鏡よりレーザーの出るファイバーを挿入し、肥大化した前立腺にレーザーを照射することで蒸散させます。ツリウムレーザーの特徴は、水分子に対する吸収率が高く、組織への深達度が0.1〜0.2 mmと限定的な点にあります。強い熱エネルギーで前立腺組織を瞬時に蒸散させる際に、薄い凝固層を形成させることで確実な止血効果を得るとともに、周辺組織への影響を最小限に留めることが可能です。圧迫していた前立腺を蒸散させることで尿道が広がり、排尿量が増加、また残尿感なども軽減されます。術後の痛みが少なく、回復も早く、術後の尿道カテーテルの留置期間も短くて早期退院が可能となります。脳や心臓に併存疾患がある方、抗凝固剤(血液サラサラの薬)を内服中などのリスクが高い方も手術可能です。

治療のリスク

他の治療法よりも副作用は少ないと言われていますが、他の治療と同様に副作用のリスクがあります。ツリウムレーザーで主にみられる副作用は次の通りです。

• 血尿－尿に血液が混ざる
• 炎症－術後患部に違和感を覚える
• 逆行性射精　など

経尿道的前立腺吊り上げ術（Urolift:ウロリフト）

Uroliftについて

前立腺内に小型のインプラントを埋め込み、肥大した前立腺を吊り上げて持ち上げ、尿道を塞がないように固定し、排尿しやすくする治療法です。従来の前立腺肥大症の手術と異なり、前立腺組織の切開、焼灼、切除を行わないため、体への負担が少ないのが特徴です。手術時間は約15分と短時間で済むため、侵襲が少なく、高齢の方でも安全に実施できる手術方法です。他の手術法で生じうる逆行性射精は起こりにくいとされています。欧米では2013年に承認され、日本では2022年4月に保険承認されました。これまで30万人以上が本治療を受け、長期効果が実証されています。

Uroliftの実際

手順 1
閉塞した尿道にデリバリーシステムを挿入し、肥大した前立腺にアプローチします。

手順 2
肥大した前立腺組織を持ち上げて固定し、小型のインプラントを永久的に留置して尿道を拡張します。デリバリーシステムから出る小さな針を通して、インプラントが 前立腺の中に永久的に留置されます。

手順 3
閉塞した尿道が開かれ、症状が改善されます。一般には手術翌日に尿道カテーテルを抜去し、排尿が確認できれば術後2日目に退院となります。術後の血尿の程度により入院期間が延長する場合があります。

当院で特徴的な治療法について：
尿路結石症に対する外科的治療法

当院では最新の尿路結石症治療ホルミウムヤグレーザーを導入いたしました。砕石中の結石の移動を抑制する独自の機能を搭載し、効率的な手術を行える独自のパルスも併せ持ち、手術時間を短縮することができます。(手術時間を短縮することで麻酔による患者様への負担を軽減できます)。また、尿路の小さな結石から巨大な膀胱結石まで様々な硬さや位置の結石に対し、細かく出力の設定を変えることにより、より効率よく結石を破砕していくことができます。さらに同機器で尿路上皮がんのレーザー治療も可能です。

特徴

• 特殊なモードを搭載し手術時間の短縮が可能
• 小さい結石から大きな結石までどのような結石でも対応可能