診療科のご案内

形成外科

顔面骨骨折および顔面軟部組織損傷(顔の骨折や顔の切り傷など)

顔のケガ(顔面外傷)

顔面は常に人目にさらされる部位であり、ケガの後の変形や瘢痕(はんこん:傷あと)は、しばしば大きな精神的苦痛を伴います。たとえば、まぶた・鼻翼・くちびる・耳に裂創を生じた場合、わずかなズレでも変形やひきつれの原因になるので、正確な縫合を必要とします。
また、転倒による擦過傷などでも砂・ホコリなどの異物が沈着していることがあり、放置すると外傷性イレズミになることがあります。何より初期治療が大切で、変形や瘢痕の発生を最小限に食い止めるために、形成外科医の果たす役割は極めて大きいです。

顔の骨折(顔面骨骨折)

交通事故・スポーツなど、さまざまな理由で顔面骨骨折を生じることがあります。 各種レントゲン、3次元CTなどで骨折の場所や変形の程度を診断します。
手足の骨折と同様に早期の治療を必要としますが、顔面はギプスを巻くことができないので、多くは手術治療を行います。できるだけ目立たなくなるように、皮膚切開の方法に最大限の工夫を凝らしています。以下、部位ごとに解説します。

鼻骨骨折

顔面骨骨折の中で最も頻度の高い骨折です。

手術方法

受傷後2~3週間以内であれば、皮膚切開を行わずに整復治療が可能です。整復後はプラスチック製鼻ギプスと鼻内固定を行います。

麻酔
成人なら局所麻酔で処置が可能ですが、お子さんの場合は全身麻酔が必要です。
入院期間
数日間は必要です。ギプスと鼻内固定は1週間目に除去します。

※ギプス除去後に激しいスポーツをすると、同じ場所にケガをして再骨折することがあります。

頬骨骨折・頬骨弓骨折

鼻と同様、突出した部分のため頻度が高い骨折です。顔面の変形だけでなく、開口障害や頬・歯のしびれを伴うことがあります。

手術方法

口の中・睫毛下・眉毛外側など目立たない部位を切開し、骨折を整復後にプレートで固定します。プレートの素材は、変形が高度の場合はチタン製ミニプレート、単純な骨折の場合は吸収性プレートを用います。

麻酔
全身麻酔
入院期間
通常、入院期間は術後7~10日間です。
眼窩底骨折(ブローアウト骨折)

こぶしやボール、膝などで眼球に瞬間的に圧力が加わり、眼球が後方に押しやられ、最も薄い眼窩底(がんかてい)部分が骨折します。「吹き抜け骨折」ともいわれ、眼球の運動障害や複視(物が二重に見える)などの障害が現れます。
小さいお子さんの場合は即日手術が必要なことがありますが、通常は2週間程度のリハビリを行い、改善しない場合に手術対象となります。

手術方法

口の中や睫毛下(まつ毛の生え際から数mm下のライン)など目立たない部位を切開し、骨折を整復します。粉砕状の場合は骨移植を行うことがあります。

麻酔
全身麻酔
入院期間
通常、入院期間は術後7~10日間です。当科では眼科と共同して診療します。

※これらの皮膚切開線はしわの方向を厳密に再現したもので、手術跡は我々プロの目から見ても気づかないほど目立たない仕上がりになります。

特殊な部位の顔面外傷

顔面は皮下組織にさまざまな重要臓器を含んでいます。
顔面神経損傷・涙道損傷・唾液腺損傷など、皮膚損傷だけではなく特殊臓器の取り扱い方にも熟練が必要です。顕微鏡手術など特殊な手術機械や施設が必要です。

顔面骨骨折変形治癒

当科では顔面骨骨折変形治癒の治療に力を入れており、これまでに多くの患者様が手術を受けています。
何らかの理由で適切な初期治療(手術)を受けられなかったり、治療後に不運にも顔面の変形や機能障害が残ってしまったりされた患者様に対しても、可能なかぎり受傷前の正常な顔貌と機能を取り戻すべく、手術をプランニングします。
変形治癒骨折の手術では、骨切り、骨削除、自家骨移植による補てんなどの手技を用い、複雑な変形の修復まで対応しています。たとえば、鼻、頬骨、上顎、下顎、頭部、眼窩などに陥没や左右非対称の変形が残ってしまい苦痛でお困りの方は、あきらめる前にぜひ一度ご相談ください。