形成外科
瘢痕・瘢痕拘縮・ケロイド
傷あと(瘢痕)
形成外科では「傷あと」を手術で治療します。しかし、形成手術自体の傷あとが消えるわけではないので、元通りにはなりませんが、見た目にも目立たなくなります。イメージとしては化粧で隠せる程度とお考えください。
治療方法
形成外科の手術跡が目立たないのは、「傷あと」(瘢痕:はんこんと言います)の切り方、縫い方に工夫をするからです。具体的には、まず、しわ線を考慮しながら、形成手術のデザインをします。「傷あと」を切除後、皮下を剥離して、最後に真皮と表面の二層縫合を行い、傷の拡大を防ぎます。
- 手術適応
- 基本的には「傷あと」を切除して縫合できる程度の範囲なら手術が可能です。
- 術後ケア
- 表面縫合だけ4~5日目に抜糸し、さらに肌色テープによる"傷のテーピング"を1~2か月間行います(場合によって圧迫や内服薬の併用をします)。傷をきれいにする治療とは、手術が半分、術後ケアが半分を担っており、患者様の協力が何より大切です。
ひきつれたキズ(瘢痕拘縮)
顔面のまぶたや唇のまわり、手足、肩や肘といった関節部に傷を負った場合、その大きさや向きによってはひきつれを生じやすく、目や口の開閉をしにくくなったり、関節の曲げ伸ばしに不自由を生じることがあります。 このひきつれを瘢痕拘縮(はんこん・こうしゅく)といいます。
治療方法
瘢痕を切り取り、皮膚移植をしたり、ひきつれた皮膚をジグザグに切って位置をずらして縫い直すことでひきつれを伸ばす手術を行っています。
- 手術適応
- 傷あとは約半年の時間経過とともに、盛り上がりや赤みが目立ちにくくなり、痒み、硬さも軟らかく軽快してきますが、ひきつれの状態が改善しにくい場合は、治療の対象になります。
- 術後ケア
- 手術後はひきつれが再発しやすいため、テープやサポーターでの圧迫や装具での安静を一定期間行う必要があります。
- 保険適応について
- 単なる「傷あと」ではなく、運動障害を伴う瘢痕拘縮に対する形成手術は、保険診療の対象となります。
ケロイド(ケロイド、肥厚性瘢痕)
赤く盛り上がった傷を「肥厚性瘢痕」とか「ケロイド」といいます。 この二つは見た目に似ていますが、病態と治療方法が異なります。
厚性瘢痕
肥厚性瘢痕はけがの範囲を超えずに盛り上がった状態で、前胸部、肩、下腹部にできやすく、症状も軽度なことが多いです。瘢痕を切除し、真皮と表面の二層縫合を丁寧に行い、傷あとを修復することも可能です。
ケロイド
ケロイドとは、元の傷の範囲を超えて大きく広がる瘢痕で、傷がなくても発生することがあり、体質的な要素が高い病気です。そのため、手術しても再発することが多く、圧迫(当科ではシリコンシートを使用)や内服薬が主で、ステロイド局部注射を併用することもあります。それでもよくならないときにはケロイド切除後、放射線照射も検討します。