消化器内科
診療内容
消化器内科では、消化器内視鏡検査やCT検査、MRI検査などの各種画像診断を軸とした胃腸疾患、胆膵疾患、肝臓疾患の臨床診断と治療を行ってきました。近年は、消化器病学会指導医・専門医であるスタッフの増員と、高画質の消化管内視鏡機器の補充により、消化器病学のすべての領域にわたり診断・治療を実施する体制を整え、2015年1月からは、消化器病学会認定施設としての承認を得て、標準的な医療を提供するようにこころがけています。
食道や胃、大腸の早期癌に対する内視鏡治療を安全に行い、常にその技術の向上を図っています。医療機器の開発は目覚しく、当科では新しい治療機器を迅速に導入して、優良な手技を提供するように努めています。大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層切開剥離術(ESD)は、2~5cmと大きな大腸腫瘍も内視鏡で切除できるようになりました。
最近増加傾向にある炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)の詳細な診断も内視鏡で行うことが出来ます。難病といわれる疾患ですが、抗TNF抗体や免疫抑制剤といった特殊な薬剤から、従来のステロイド治療などの複数の薬剤を組み合わせて治療を行っています。その結果として、良好な経過をたどることが出来るようになってきました。また、当科の難病指定医により特定疾患の申請をおこない、生活面でのサポートもするように努めています。
閉塞性黄疸や胆管炎といった重篤な救急疾患に対しては、内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)とドレナージ術を行うことで救命しています。その原因となる胆石治療や胆管癌・膵癌などの治療は消化器外科との連携のもとで行っています。癌に対する化学療法は、特にがん治療の専門医と認定医が担当し、入院治療だけでなく生活の質(QOL)を重視した外来治療も行っています。消化器内科だけでなく、薬剤師さんを含む多職種のチーム医療を実践していることが当院のがん治療の特色です。
この数年では、肝疾患の診療にも力を注いできました。慢性肝炎・肝硬変の最大の原因であるC型肝炎ウイルスの持続感染者の診療は年間200例にも及んでいます。その中で、2014年冬から認可されたインターフェロンフリー治療の実績は年間30例以上になります。重篤な副作用がなく、治療期間の短いこの治療は入院の必要がないことが画期的です。現在では消化器内科の入院の約15%が肝疾患ですが、これらの多くは肝硬変、肝がん、肝不全のより重症の疾患です。これらに対して、肝臓専門医が新しい医療機器を駆使して病態を正確に診断し、個々の病態に即した治療を提供いたします。
外来、入院統計
2022年度 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 合計 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
外来述べ 患者数 |
2,299 | 1,972 | 2,102 | 2,163 | 2,384 | 2,290 | 2,286 | 2,442 | 2,495 | 2,310 | 2,087 | 2,245 | 27,075 | 2,256.3 |
入院延べ 患者数 |
848 | 1,052 | 887 | 1,014 | 728 | 855 | 833 | 848 | 1,062 | 1,283 | 963 | 996 | 11,369 | 947.4 |
診療実績
検査・治療件数 | 平成25年度 | 平成26年度 | 平成27年度(~11月) |
---|---|---|---|
上部消化管内視鏡 | |||
検査 | 3,777 | 4,694 | 3,553 |
治療 | 235 | 343 | 265 |
下部消化管内視鏡 | |||
検査 | 1,856 | 2,068 | 1,612 |
治療 | 219 | 301 | 235 |
逆行性胆管膵管造影 | |||
検査 | 190 | 210 | 157 |
治療 | 128 | 146 | 133 |
治療実績 | 平成25年度 | 平成26年度 | 平成27年度(~12月) |
---|---|---|---|
胃ESD施行患者数 | 18 | 33 | 28 |
一括切除率 | 94.3% | 91.4% | 96.4% |
重篤な合併症 | |||
(出血) | 5.5%(1/18) | 3.0%(1/33) | 3.6%(1/28) |
(穿孔) | 0%(0/18) | 6.1%(2/33) | 0% |
食道ESD施行患者数 | 3 | 4 | 5 |
一括切除率 | 100% | 100% | 100% |
重篤な合併症 | |||
(出血) | 0%(0/3) | 0%(0/4) | 0%(0/5) |
(穿孔) | 0%(0/3) | 0%(0/4) | 0%(0/5) |
大腸ESD施行患者数 | 22 | 9 | |
一括切除率 | 86.3% | 88.9% | |
重篤な合併症 | |||
(出血) | 0%(0/22) | 0%(0/9) | |
(穿孔) | 0%(0/22) | 0%(0/9) | |
総胆管結石治療患者数 | 35 | 33 | 37 |
結石完全截石率 | 94.4% | 94% | 集計中 |
重篤な合併症 | |||
(出血) | 2.6%(1/35) | 3.4%(2/58) | 5.4%(2/37) |
(穿孔) | 0% | 1.7%(1/58) | 0% |
外来医師担当表
曜日 | 午前 | 午後<予約制> |
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月 |
一石 英一郎 秋田 貴之 根本 大樹 |
一石 英一郎 秋田 貴之 根本 大樹 |
火 |
秋田 貴之 大澤 陽介 (予約のみ) 一石 英一郎 |
大澤 陽介 |
水 |
大澤 陽介 (予約のみ) 髙後 裕 |
大澤 陽介 |
木 |
大竹 孝明 根本 大樹 |
大竹 孝明 |
金 |
石塚 彰映 大竹 孝明 須藤 大輔 |
大竹 孝明 |
土 | 村田 一素 (予約のみ) 須藤 大輔 静間 徹(月1回) |
村田 一素 石塚 彰映 静間 徹(月1回) |
【特記事項】
※かかりつけ以外の内科疾患は一般内科の受診となります。
研究
消化器内科で行っている研究
B型慢性肝疾患における核酸アナログによる発癌抑制効果に関する検討
研究代表者:山崎 一美(長崎医療センター 肝臓内科)
研究責任者:村田 一素(国際医療福祉大学病院 消化器内科)
研究機関:2025年12月31日まで