PET-CTのご紹介

PET-CTのご紹介

PET-CTについて

ご紹介

当院のPET-CT装置は2014年4月に県北地域で初めて導入されました。それまではこの検査を受けるために宇都宮市内まで行く必要がありましたが、遠方まで足を運ぶことなく受けていただくことができるようになり、2023年9月時点でも県北地域では唯一当院でのみ受けられる検査です。1月あたり60~70件程度、年間で750~800件の検査を行っています。
医療機器共同利用も行っていますので、地域の医療機関の先生からの依頼により検査を受けることもできます。

高額医療機器共同利用について

PET-CTとは

PETとは、Positron Emission Tomography(陽電子放出断層撮影)の略で、放射能を含む薬剤を用いて行う核医学検査の一種です。
がんなどの悪性腫瘍は正常な細胞に比べ約3~8倍のブドウ糖を細胞内に取り込む性質を持っています。PET検査ではこの性質を利用して、ブドウ糖にごく微量の放射線を放出するフッ素(18F)という放射性同位元素を結合させた薬剤(FDG)を体内に注射し、FDGの全身分布を特殊な装置で撮影します。
PET-CTは、PET検査と同時にCT撮影を行うことのできる装置です。CTは臓器の位置や形態を精度よく画像にすることができるため、同時に撮影したCT画像とPET画像を重ねることにより、全身のどの部位にFDGが多く集まっているか正確な診断を行うことができます。

PET-CT検査の特長

  • 全身を診る:一度の検査で全身を撮影できます。
  • 早期発見:がんの発見率が高い検査です。
  • 転移や再発の発見:予想外の部位へのがんの転移や再発を発見できます。
  • 良性・悪性の推定:腫瘍の良性・悪性識別の手がかりになります。
  • 体に負担の少ない検査:注射後安静にした後、装置の上で横になって撮影するだけです。

PET-CT検査の留意点

1.PET-CT検査の限界について

PET-CT検査はがんの発見率が高い検査ですが、決して万能ということではありません。臓器や部位によってはみつけにくい場合もありますので、他の検査と組み合わせることでより正確な診断ができるようになります。

発見しやすいがん:有用性が認められているもの

  • 悪性リンパ腫:病期診断、治療効果判定、再発診断にとても有用です。
  • 肺がん:CTで悪性か迷う場合に特に有用です。ただし、5mm以下の小さながんは描出できない場合があります。
  • 大腸がん:内視鏡が通過できない症例や転移の診断に有用です。
  • 食道がん:進行食道がんの治療前の評価に有用です。組織型によってはFDGが集まらない場合もあります。
  • 頭頚部がん:病期の診断、治療方針の決定に有用です。
  • 甲状腺がん:発見例が多いとされています。良悪性の診断には注意が必要です。
  • 乳がん:転移の診断、術前化学療法の効果判定、再発診断などに有用です。
  • 子宮がん:検出能が高いといわれています。ただし、月経周期によっては正常でもFDGが集まってしまうことがあるためMRIなどとの併用が推奨されます。
  • 卵巣がん:検出能が高いといわれています。ただし、月経周期によっては正常でもFDGが集まってしまうことがあるため他検査との併用が推奨されます。
  • 原発不明がん:転移が先行して見つかった場合、全身を一度に検索できるPET-CT検査は有用です。

*がん以外にも、心サルコイドーシスや大型血管炎の検出に有用な検査とされています。

発見しにくいがん

以下のがんは、FDGが集まりにくいためみつかりにくいといわれています。

  • 胃がん(とくに早期胃がん)
  • 肝細胞がん
  • 胆道がん
  • 白血病
  • 5mm以下の小さながん

またFDGは尿として排泄されるため、腎臓や尿管、膀胱には正常でも多くのFDGが集まります。そのため、以下のがんは診断が難しいとされています。

  • 腎がん
  • 尿管がん
  • 膀胱がん
  • 前立腺がん
2.PET-CTの被ばくについて

FDGからの被ばく線量は約4mSv(ミリシーベルト)で胃のバリウム検査と同等です。ここへさらにCTによる被ばくが加わり検査全体で約20mSvになりますが、放射線障害などの心配はありません。また、FDGによる重篤な副作用の報告もありません。
被ばくが気になる方は、PET-CTと同様の全身検査をMRIを使用して行うDWIBSという検査もあります。

3.PET-CT検査を受けられない方、受けるのに注意が必要な方

放射線被ばくのある検査ですので、妊娠中あるいは妊娠の可能性がある方は検査を受けることができません。また、胃や大腸のバリウム検査後は、腸内に残ったバリウムで画像が不良になる恐れがありますので、1週間程度経たないと検査ができません。
ペースメーカー、埋め込み型除細動器を装着している場合、一部の機種によっては設定に影響が出てしまう場合があります。
極度の閉所恐怖症の方、糖尿病で治療中の方も場合によっては検査が出来ないことがあります。該当する方は事前にご相談ください。

4.PET-CTの料金について

PET-CTの料金は約10万円ですので、保険適応となる場合、3割負担で約3万円です。すべての疾患で保険適用が認められていないため、適用外になる場合は全額自己負担となりますのでご了承ください。以下の疾患は保険適応となります。

1.てんかん 難治性部分てんかんで外科手術が必要とされる患者。
2.心疾患 虚血性心疾患による心不全患者における心筋組織のバイアビリティ診断、心サルコイドーシスの診断又は心サルコイドーシスにおける炎症部位の診断が必要とされる患者。
3.悪性腫瘍
(早期胃がんを除き、悪性リンパ腫を含む)
他の検査、画像診断により病期診断、転移・再発の診断が確定できない患者。
4.大型血管炎
(高安または巨細胞性動脈炎)
すでに大型血管炎と診断のついている方で、他の検査では病変の局在または活動性の判断のつかない方。

検査の流れ

前日
  • 検査の前日から当日まで、激しい運動を避けてください。運動すると使われた筋肉にFDGが集まり、診断しにくい画像になります。日常生活での歩行等は問題ありません。
    心サルコイドーシスでの検査の場合、検査前日からの絶食(検査20時間前から絶食)が必要になります。

当日
  • 検査前5時間は絶食となります。糖分を含む飲み物も控えていただきます。
    糖尿病の方は、経口糖尿病薬の服用やインシュリンの注射も原則中止していただきます。
    (詳細は主治医と相談していただいてから検査を受けてください。)

  • 受付
    検査の説明と、身長・体重の測定を行います。

  • 注射
    FDGを静脈注射します。注射の際に少量の採血をし、血糖値もここで測定します。

  • 待機
    専用の待機室で約1時間安静にしていただきます。
    余分なFDGを排泄するため、水を飲んでいただきます(検査室でお渡しします)。

  • 撮影
    直前に排尿をしていただきます。撮影時間は約30分です。
    撮影は、早期像と後期像の計2回行います。

  • 終了