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循環器内科

循環器内科・心臓外科合同抄読会 平成29年

平成29年12月26日(担当:佐竹)
Stroke and Mortality Risk in Patients With Various Patterns of Atrial Fibrillation: Results From the ENGAGE AF-TIMI 48 Trial (Effective Anticoagulation With Factor Xa Next Generation in Atrial Fibrillation-Thrombolysis in Myocardial Infarction 48).
Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017 Jan;10(1). pii: e004267.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28077507
平成29年12月12日(担当:兼光)
Sudden Cardiac Arrest during Participation in Competitive Sports.
N Engl J Med. 2017 Nov 16;377(20):1943-1953.
[PubMed]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29141175
平成29年12月05日(担当:吉永)
Mechanical or Biologic Prostheses for Aortic-Valve and Mitral-Valve Replacement.
N Engl J Med. 2017 Nov 9;377(19):1847-1857.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29117490
平成29年12月5日(担当:吉永)
Mechanical or Biologic Prostheses for Aortic-Valve and Mitral-Valve Replacement N Engl J Med 2017; 377:1847-1857November 9, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1613792

【背景】
大動脈弁置換術(AVR)、僧帽弁置換術(MVR)を受ける患者には、機械弁もしくは生体弁が使用される。生体弁に関してはこれを支持するエビデンスが限られているにもかかわらず、選好されることが増えてきている。

【方法】
1996年から2013年にカリフォルニアで、機械弁もしくは生体弁でAVRもしくはMVRを受けた患者の逆確率加重コホートの長期死亡率、再手術率、脳卒中発生率、出血発生率を比較検討された。患者は大動脈弁 対 僧帽弁で弁の位置をもとに年齢群に分けられた。

【結果】
1996年から2013年にかけて、生体弁の使用はAVRが11.5%から51.6%へ、MVRが16.8%から53.7%へ大幅に増加した。AVRを受けた患者では、生体弁による置換は機械弁による置換と比較して、15年死亡率と45~54歳の患者には有意な関連があった(30.6% vs. 26.4% at 15 years; hazard ratio, 1.23; 95% confidence interval [CI], 1.02 to 1.48; P = 0.03) 。
55~64歳の患者には関連はなかった。MVRを受けた患者では、生体弁による置換は機械弁による置換と比較して、15年死亡率と40~49歳の患者には有意な関連があった(44.1% vs. 27.1%; hazard ratio, 1.88; 95% CI, 1.35 to 2.63; P<0.001)。さらに、15年死亡率と50~69歳の患者にも有意な関連があった(50.0% vs. 45.3%; hazard ratio, 1.16; 95% CI, 1.04 to 1.30; P = 0.01)。再手術率は、生体弁で置換された患者が機械弁で置換された患者より有意に高かった。機械弁で置換された患者は生体弁で置換された患者より出血の累積発生率が高く、一部の年齢群では脳卒中の累積発生率が高かった。

【結語】
機械弁に関連する生体弁との比較における長期死亡率に対する有益性は、MVRを受けた患者では70歳まで、AVRを受けた患者では55歳までであった。
平成29年11月14日(担当:柘植)
Effect of Oral Iron Repletion on Exercise Capacity in Patients With Heart Failure With Reduced Ejection Fraction and Iron Deficiency: The IRONOUT HF Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 May 16;317(19):1958-1966.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28510680
平成29年11月07日(担当:高田)
Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran after PCI in Atrial Fibrillation.
N Engl J Med. 2017 Oct 19;377(16):1513-1524.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28844193
平成29年10月24日(担当:布田)
Patent Foramen Ovale Closure or Anticoagulation vs. Antiplatelets after Stroke.
N Engl J Med. 2017 Sep 14;377(11):1011-1021.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28902593
平成29年09月12日(担当:佐竹)
Modifiable Risk Factors for Incident Heart Failure in Atrial Fibrillation.
JACC Heart Fail. 2017 Aug;5(8):552-560.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28624486
平成29年09月19日(担当:兼光)
Effect of Natriuretic Peptide-Guided Therapy on Hospitalization or Cardiovascular Mortality in High-Risk Patients With Heart Failure and Reduced Ejection Fraction: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Aug 22;318(8):713-720.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28829876
平成29年08月01日(担当:福田)
Progression of paroxysmal to persistent atrial fibrillation: 10-year follow-up in the Canadian Registry of Atrial Fibrillation.
Heart Rhythm. 2017 Jun;14(6):801-807.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28232263

【背景】
心房細動 (AF) の発作性から持続性への進行は臨床的意義および患者管理において重要な問題である。

【目的】
本研究の目的は、AFが発作性から持続性へ進行する過程を長期的に調査することおよび、それに関連する因子を検討することである。

【方法】
Canadian Registry of AFは、AFが初めてECG上記録された発作性AF患者を登録し、その背景因子と臨床結果の関連を多変量Cox proportional hazard modelと競合因子として死亡を考慮した競合リスクモデルで検討した。

【結果】
755名(61.7%が男性)で平均年齢61.2歳、14歳-91歳の患者を登録。フォローアップの中央値は6.35年で、1, 5および10年の時点でのAFの持続性への移行は、それぞれ8.6%,24.3%, 36.3%であった。全死亡に関しては、10年で30.3%であった。AF進行に関連する因子としては、加齢がHR 1.4 (95% CI 1.23-1.60), 僧帽弁逆流 (MR)がHR1.87 (95% CI1.28-2.73), 左心房拡大のHR 3.01(95% CI 2.03–4.47), 大動脈弁狭窄 (AS) のHR 2.40(95% CI 1.05–5.48), および左室肥大(LVH)のHR 1.47 (95% CI 1.04–2.08)であった。一方、進行が進まない要因としては、AF中の速い心拍数がHR 0.94 (95% CI 0.92–0.96 per 5-beat/min increment)、狭心症がHR 0.54 (95% CI 0.38–0.77)であった。
競合リスクとして死亡を考慮したモデルでは、LVHとASは有意な項目から外れた。

【結論】
10年以内に50%をこえる発作性AF患者が、持続性もしくは死亡という転帰をとった。
加齢、MR, AS, LVH, 左心房拡大が発作性から持続性AFへの進行に関連していた。
平成29年07月25日(担当:齋藤)
Angiotensin II for the Treatment of Vasodilatory Shock.
N Engl J Med. 2017 Aug 3;377(5):419-430.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28528561
平成29年07月11日(担当:吉永)
Surgical or Transcatheter Aortic-Valve Replacement in Intermediate-Risk Patients.
N Engl J Med 2017; 376:1321-1331.
April 6, 2017 DOI: 10.1056/NEJMoa1700456

【背景】
経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)はハイリスクの重症大動脈弁狭窄症(AS)患者にとって外科的大動脈弁置換術(AVR)に代わる手技として受け入れられてきましたが、中等度リスクのAS患者に対してのアウトカムに関しては十分な比較はなされていなかった。

【方法】
TAVR(自己拡張型生体弁)を施行された群とAVRを施行された群に無作為に割り付けて、重症かつ有症状ASの中等度リスク患者のアウトカムの評価が行われた。
主要エンドポイントは術後2年の時点での全死亡と障害を伴う脳卒中であった。
ベイズ解析法(マージン 0.07)を用いて、AVRに対するTAVRの非劣性の評価が行われた。

【結果】
2012年6月~2016年6月に87施設で、1746例が無作為に割り付けられた。そのうち、TAVRもしくはAVRを施行された患者は1660例で、TAVRが864例、AVRが796例であった。平均年齢は79.8歳、STS score は平均4.5%であった。
24か月の時点で主要エンドポイントの発生は、TAVR群で12.6%、AVR群で14.0%であった(非劣性の事後確率>0.999)。
AVRは急性腎障害の発生、心房細動の発生、輸血の必要性がより高くなるのに対し、TAVRはARの残存の発生、ペースメーカー植え込みの必要性がより高くなるのに関連していた。
術後の心エコー所見では、TAVRはAVRより平均圧較差が低く、弁口面積が大きかった。
人工弁の構造的劣化は24か月の時点で両群とも発生しなかった。

【結語】
中等度リスクのsevere AS患者において、TAVRはAVRと比較して非劣性であり、有害事象の発現傾向は手技により異なっていた。
平成29年07月04日(担当:武田)
Evolocumab and clinical outcomes in patients with cardiovascular disease.
N Engl J Med. 2017; 376: 1713-22. Epub 2017 Mar 17.

【背景】
PCSK9阻害薬エボロクマブはLDL-Cをおよそ60%低下させることが示されているが,心血管イベントを抑制するかはまだ明らかにはなっていない。

【方法】
アテローム性心血管疾患を有し、LDL-Cが70mg/dl以上かつスタチン治療を受けている患者27,564例を対象とし、エボロクマブの有効性と安全性を評価した。試験デザインは無作為割付け、プラセボ対照、二重盲検、多施設共同試験である。一次エンドポイントは心血管死、不安定狭心症による入院、心筋梗塞、冠血行再建術、脳卒中とし、二次エンドポイントは心血管死、心筋梗塞、脳卒中とした。

【結果】
LDL-C中央値は、エボロクマブ群で92mg/dlから48週目までに30mg/dlまで低下した。2.2年の試験期間での一次エンドポイントは、エボロクマブ群で9.8%、プラセボ群で11.3%と、エボロクマブ群で減少した。二次エンドポイントもエボロクマブ群で5.9%、プラセボ群で7.4%と、エボロクマブ群で減少した。イベント発生率の抑制は個別の評価項目でも確認され、心筋梗塞では27%、脳卒中では21%、冠血行再建術は22%、エボロクマブ群で有意に相対リスクの減少を認めた。

【結論】 スタチン治療へのPCSK9阻害薬エボロクマブの追加によりLDL-Cは中央値30mg/dlまで低下し,心血管イベントリスクも低下した。アテローム性心血管疾患を有する患者における現行LDL-C低下目標値の引き下げによるベネフィットが示された。
平成29年07月04日(担当:柘植)
Subclinical leaflet thrombosis in surgical and transcatheter bioprosthetic aortic valves: an observational study.
Lancet 2017; 389: 2383–92.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28330690
平成29年05月30日(担当:兼子)
Fractional Flow Reserve-Guided Multivessel Angioplasty in Myocardial Infarction.
N Engl J Med. 2017 Mar 30;376(13):1234-1244.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28317428
平成29年05月09日(担当:高田)
Diagnostic performance of cardiac imaging methods to diagnose ischaemia-causing coronary artery disease when directly compared with fractional flow reserve as a reference standard: a meta-analysis.
Eur Heart J. 2017 Apr 1;38(13):991-998.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27141095

【目的】
本研究の目的は、虚血性心疾患において、SPECT、負荷エコー、CAG、coronary CT、FFRct及びMRIの診断能力を、FFRの結果を参照として評価するものである。

【方法】
2002年1月から2015年2月まで、発表された論文を、Pub Med及びWeb of knowledgeで調査した。狭心症に関する研究のうち、冠動脈に少なくとも75%以上の割合でFFRを行っている研究を対象とした。結果として3788人の患者と5323の血管について報告している23の論文が確認された。統合された感度、特異度、尤度比(LR)、診断オッズ比、およびROCについてメタ分析を行った。

【結果】
ICA、CCTA、およびFFRCTとは対照的に、SPECT、SE、およびMRIを評価する研究は、ほとんどが後ろ向きで、単一施設であり、より小さな研究であった。患者ごとの結果では、CCTA、FFRCT、およびMRI、の感度は、SPECT 、SE、ICAよりも高い結果だった。MRIおよびCCTAにおいて、それぞれ最高および最低の特異度がみとめられた。SPECT、SE、FFRCTおよびICAでは同等の特異度であった。血管あたりの感度は、CCTA、MRI、およびFFRCTの感度が最も高く、 ICA、およびSPECTで低かった。特異度はMRI、FFRCT、SPECTで最も高かったが、ICA、CCTAでは低かった。

【結論】
心臓イメージング法を直接FFRと比較するこのメタアナリシスでは、MRIは虚血性心疾患の診断で最高のパフォーマンスを示し、SPECTおよびSEでは低いパフォーマンスであった。 CCTAおよびICAの解剖学的方法では特異度が低く、SE、SPECT、およびFFRCTによる機能的評価では正確度が改善した。
平成29年05月02日(担当:布田)
A Prospective Study of Sudden Cardiac Death among Children and Young Adults.
N Engl J Med 2016; 374:2441-2452.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27332903
平成29年04月25日(担当:兼光)
Body-Weight Fluctuations and Outcomes in Coronary Disease.
N Engl J Med. 2017 Apr 6;376(14):1332-1340.
[PubMed] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28379800
平成29年04月18日(担当:吉永)
Tranexamic Acid in Patients Undergoing Coronary-Artery Surgery.
N Engl J Med. 2017 Jan 12;376(2):136-148.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27774838
平成29年04月04日(担当:齋藤)
Bioresorbable Scaffolds versus Metalic Stents in Routine PCI.
N Engl J Med. 2017 Mar 29.
[PubMed link]https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28402237
平成29年03月21日(担当:佐竹)
Assessing the Risks Associated with MRJ in Patients with a Pacemaker or Defibrillator.
N Engl J Med. 2017 Feb 23;376(8):755-764.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28225684
平成29年03月14日(担当:角田)
Targeted Temperature Management at 33 C versus 36 C after Cardiac Arrest.
N Engl J Med. 2013 Dec 5;369(23):2197-206.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24237006
2017年2月14日(担当:武田)
Effect of Evolocumab on Progression of Coronary Disease in Statin-Treated Patients:The GLAGOV Randomized Clinical Trial. JAMA. 2016;316(22):2373-2384. doi:10.1001/jama.2016.16951
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27846344

スタチン療法施行中の冠疾患患者968例を対象に、PCSK9阻害薬エボロクマブの追加投与が冠動脈硬化に与える影響を、プラセボ対照無作為化試験で検討した(GLAGOV試験)。
血管内超音波法(IVUS)で評価したベースラインから78週時までのアテローム体積の変化率は、対照群0.05%増に対し、エボロクマブ追加群は 0.95%減で有意にアテロームが退縮した(P<0.001)。
今後臨床的アウトカムの検討が必要である。
2017年2月7日(担当:柘植)
Renin-Angiotensin System Control for Chronic Kidney Disease Patients Undergoing Coronary Surgery.
Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2016 Oct 20;22(5):291-297.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27558882
2017年1月31日(担当:高田)
Comparison of the ATRIA, CHADS2, and CHA2DS2-VASc stroke risk scores in predicting ischaemic stroke in a large Swedish cohort of patients with atrial fibrillation.
European Heart Journal (2016) 37, 3203–3210
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26941204

【目的】
AF患者において抗凝固を適切に行うには、より確かな脳梗塞予測が必要である。ATRIA stroke risk scoreはカリフォルニアでのコホートで作成され検証されたscoreである。我々はATRIAとCAHDS、CHADS-vasc scoreをnational Swedish AF cohort(SAF)において比較した。

【方法】
2005年6月から2010年12月までの間に、swedenの病院に入院するか外来を受診した患者で、AFと診断された全ての患者を検証した。リスク因子は包括的な国民databaseから決定した。Risk scoreはC-indexとNRIで検証された。全体で、11053の脳梗塞が確認され、年率3.2%であり、カルフォルニアの年率2%より高い結果となった。全体のポイントを使うと、ATRIAは0.708と良いC-indexを持ち、CHADSの0.69やCAHDS-vascの0.694に比較して良い結果となった。また、既に発表されているcut-off pointを使用したlow/moderate/highのリスク分類においても、C-indexは低下したもののやはりATRIAが優れていた。Net reclassification improvement純再分類改善度ではATRIAとCHADSで0.16、ATRIAとCHADS-vascで0.21とやはりATRIAで優れていた。NRIはcut off pointをcohortの脳梗塞率に沿うよう変えたところ減少した。

【結論】
SAF cohortでは、ATRIA scoreはCHADS scoreやCHADS vasc scoreよりよく脳梗塞を予測していた。しかしながら、対象の脳梗塞率でそのカテゴリ化した場合の予測能は変化した。Scoreのcut off値は、その地方の脳梗塞率で適正に変えられるべきである。
2017年1月24日(担当:兼光)
Genetic Risk, Adherence to a Healthy Lifestyle, and Coronary Disease.
N Engl J Med. 2016 Dec 15;375(24):2349-2358.
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27959714
2017年1月17日(担当:佐竹)
Ablation vs. Amiodarone for Treatment of Persistent Atrial Fibrillation
in Patients With Congestive Heart Failure and an Implanted Device:
Results From the AATAC Multicenter Randomized Trial
Circulation. 2016;133;1637-1644
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27029350
2017年1月10日(担当:人見)
Prevention of Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing PCI
The new England journal of medicine dec 22,2016 vol.375 no.25
N Engl J Med 2016; 375:2423-2434
[PubMed link] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27959713

【background】
ステント留置されたPCIを施行房細動患者において,
・ビタミン K 拮抗薬に,P2Y12 阻害薬とアスピリンにDAPTを併用する標準的抗凝固療法で,血栓症と脳卒中のリスクが低下するが,出血のリスクが上昇してしまう。
・リバーロキサバンに 1 剤or 2 剤の抗血小板薬を併用する抗凝固療法の有効性と安全性はまだ明らかではない

【methods】
非弁膜症性心房細動を有し,ステント留置されたPCI が施行の2,124 例を,1:1:1 の割合で3群に無作為に割り付けた(figure1)
・(第 1 群)低用量リバーロキサバン(15 mg を 1 日 1 回)+P2Y12 阻害薬を 12 ケ月間投与する群
・(第 2 群)超低用量リバーロキサバン(2.5 mg を 1 日 2 回)投与+DAPT を 1,6, 12ケ月間行う群,
・(第 3 群)用量調節したビタミン K 拮抗薬(1 日 1 回)投与+DAPT を 1,6, 12 ケ月間行う標準療法群
Primary safety outcomeは,臨床的に重大な出血、心筋梗塞血栓溶解 (TIMI) 基準による大出血・小出血,または治療を要する出血、これらの複合とされた

【results】
臨床的に重大な出血の発生率は、(figure2)
・リバーロキサバンを投与2 群が,標準療法群より低かった(第 1 群 16.8%,第 2 群 18.0%,第 3 群 26.7%;第 1 群の第 3 群に対するハザード比 0.59,95%信頼区間 0.47~0.76,P<0.001;第 2 群の第 3 群に対するハザード比 0.63,95% CI 0.50~0.80,P<0.001).(詳細はtable2)
・心血管系の原因による死亡,心筋梗塞,または脳卒中の複合発生率(2次アウトカム)は,3 群で同程度だった(Kaplan–Meier 推定発生率は第 1 群 6.5%,第 2 群 5.6%,第 3 群 6.0%;P 値はすべての比較で有意ではなかった)(詳細はtable3)

【conclusion】
・ステント留置の PCI施行心房細動患者では,リバーロキサバン処方の1群, 2群は,標準療法である3群と比較して,臨床的に重大な出血の発生率が低かった.(安全性:backgroundのsafety)
・有効率は 3 群で同程度であったが,観察された信頼区間の幅が大きかったため有効性に関する結論の確実性は低くなる(backgroundのeffectiveness safety).

【議論】
1、secondary efficacy end point の数か少なすぎて検出力が足りず、優劣を見いだせなかった。
2、超低用量リバーロキサバン+DAPTはヨーロッパをはじめ多くの国でACSに行われているが、15㎎はACSに足してもAFに対しても一般的ではない
3、1、secondary efficacy end pointのstrokeで超低用量リバーロキサバン+6か月DAPTが3群より劣っていた。trial全体で検出力不足だが、subgroypの個別のefficavy end pointではさらに検出力不足だった